写真で物語は語れる?「フォト・ストーリーテリング」の基礎知識について

フォトグラフィーにおいて、ストーリーテリングは「フォトエッセイ」や「フォトテイル」と呼ばれることもあり、最近では頻繁に行われる活動です。National Geographic(ナショナル ジオグラフィック)などの雑誌を読んでいる際に、ストーリーテリングの優れた事例を目にしたことがあるのではないでしょうか?

「フォト・ストーリーテリング」とは、簡単にいうと、写真家が一連の写真、あるいは1枚の写真を通して、物語を伝える方法のことです。一連の写真の場合、見る人の感情や知性に影響を与えられるよう、正しい順序で写真が配置されます。今回は、フォト・ストーリーテリングという概念にはじめて触れ、自分が撮影した写真を通して物語を伝える方法を学びたい人のために、その方法と基礎知識を詳しくまとめてみました。ぜひ参考にしていただけると幸いです。

  1. プランニングを綿密に行う

フォト・ストーリーテリングの最も重要なポイントの一つは、計画性です。自分が思い描いている物語をどのように伝えていくか、前もって準備する必要があります。企画段階では、まずテーマを選び、それについて徹底的にリサーチしましょう。美的センスに溢れた写真を複数枚そろえなければなりません。また、なんらかの象徴的なマークを使うことで、より効果的にメッセージを表現することができます。

  1. 複数枚の写真シリーズか、1枚の写真かを決める

フォトグラファーは、1枚の写真だけを用いたほうが、より壮大なストーリーを語ることができるのでしょうか?それとも、複数枚の写真シリーズを用いたほうが、より壮大なストーリーを語ることができるのでしょうか?この問いに対する答えは、ストーリーテリング自体の意義に依るため難しいのですが、ただし一般的には、たった1枚の写真だけですべての内容を伝えることは難しいとされており、1枚の写真は”半真実”に過ぎないということを覚えておきましょう。1枚の写真であれば、印象がより強く残るかもしれませんが、それは全体像のほんの一部に過ぎないのです。

  1. 感情に強く訴える写真を選ぶ

技術的にはどんなに素晴らしい写真であっても、見る人に大きな感動を与えるものでなければ、フォトストーリーテリング用の写真にはなりえません。人が感情移入できる写真は、必ずしも人物や人間模様を含んでいなければならないという訳ではありません。自然風景から抽象的な写真まで、見る人の心を強く揺さぶるものかどうかが一番大切なのです。

ストーリー性のある写真は、見る人に感動を与えるだけでなく、メッセージを丁寧に詰め込む必要があります。これは、華やかな写真を適当に選ぶだけではうまくいかないので、物語を作る上で最も難しい部分でしょう。物語のための写真を厳選する際には、物語全体で伝えたいメッセージに合ったものかどうかを第一の基準としましょう。

  1. バラエティに富んだ写真を集める

バラエティが豊富だと、誰が見ても楽しめます。同じような写真ばかりで見る人に飽きられたり、ストーリー性を見逃されたりしたくなければ、多種多様な写真を使って、見る人の想像力を最大限にかき立てましょう。一種類の写真だけに集中しても、物語全体は伝わりません。細部にまで気を配り、撮影テクニックや美的センスに順応することが大切です。

  1. オリジナリティを詰め込む

「オリジナリティ」は死語のように聞こえるかもしれませんが、フォト・ストーリーテリングでは非常に重要なポイントです。見る人を純粋にワクワクさせるような斬新なアイデアは、パッと簡単に思い浮かぶようなものではありません。何十億枚という無数の写真が出回っている昨今では、オリジナリティあふれる作品を作るのは極めて難しいのです。できる限りのユニークさを追求し、他人とは違うものを生み出そうと努力しましょう。